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座敷童 1

 これは2023年1月に体験したことです。

 

 京都でのイベントに参加するために、某旅館に二泊しました。

 もともとは旅館として造られたわけではないものの、とても趣のある素敵な佇まいに、感嘆しました。

 とても空気がよく、気持ちがすっきりとするお宿で、通されたのは「菊の間」

 こちら、出世の間とも言い伝えられているそうで、著名人も多く宿泊されているとか……

 宿の中でも、一番広く、中庭を一望できる素敵なお部屋を独り占め。

 ものすごく贅沢な時間を過ごさせていただきました。

 

 整理整頓と清掃の行き届いた清潔感のある広々としたお部屋。

 観音開きの引手には「立鶴」と呼ばれる細工がしてあったあり、窓には今では作り手のいない波打つ手作りカラスが使われておりました。

 部屋のあちこちに百年前から続く日本家屋の良さが感じられます。

 

 そして、この部屋からは中庭が一望できるのも贅沢の一つ。

 

 チェックインしてからすぐに手入れの行き届いた中庭をパシャリ。

 

 その時は特に何も起きることはなかったのですが──

 

 仲居さんより「実は、このお部屋。座敷童がでるんです」との話を聞く。

 さらには、中庭にも現れるとのこと。

 しかも、この中庭には蛇神さまもいるそうで……生卵をお供えしているという話を耳にした藤白は、風呂上りにさっそく中庭をパシャリ。

 

 ライトアップされた中庭は幻想的ではありますが……

 

 ちょっと待ってくれ。

 

 中庭にカメラを向けると、顔認識システムがいくつも反応する。

 

藤白「え? でも……ここ。人いないよね?」

 

 カメラから目を離す。

 やはり、庭には誰もいない。

 それでもカメラは顔認識システムが異常に反応している。

 

藤白「ここには……いるね」

 

 小さく呟いた藤白の背後で、パタンッと音が鳴る。

 振り返ると、執筆するために開いておいたノートパソコンのモニターが綴じられていた。

 部屋には誰もいない。

 恐る恐るパソコンに近づき、モニター画面(蓋)を開く。

 すると、すぐに画面が起動する。

 先ほど、開いていたのはWordの画面だ。

 けれど、なぜかGoo●le検索画面が出ていた。

 しかも、検索ワードは『座敷童は本当にいる』であった……

  

 その夜、藤白が座敷童体験をしたのは言うまでもない。