
本はなるべく新品を買うようにしているのですが、すでに廃版になっていたり、古書でしか、手に入らない本もあるんですよね。
そういった時、昔は古本屋や中古販売店で探して、あれば購入し、なければ諦める。
そんな悔しい思いをしてきましたが、現在ではネットという便利なものがあります。
通販サイトやオークションサイト、フリマサイト等、いろいろなサイトで検索し、値段や状態を比較することができるので、とっても魅力的!
おかげで、絶対にもう手に入らないと諦めていた本を手に入れることができて、感激したことが多々あります。
で……も……
気を付けてくださいね──
古本屋で購入する場合、中身をきちんと確認することができますが、ネットで購入する場合。
たまぁに、変な落書きが書かれていたり、変なものが挟まっている場合があるんですよね。
「食べかす」「子どもの落書き」「ジュースのしみ」
そんなものは、まだまだ可愛いもの。
赤黒い指紋がついていたり、潰れた虫の死骸が入っていたりしたら、もう、触れたくありません。
それ以上に藤白が嫌だったものは何かといえば──数年前に手に入れた本の中に挟まっていた
奇妙な「お札」のようなものと、長い女性の髪の毛です。
古びて、汚れたお札は、絶対に捨ててはいけないと思い、気持ち悪いなと思いながらも、挟んだままにしておきました。
ですが、女性の髪の毛だけはどうしてもそのままにしておけません。
すぐにティッシュでくるみ、捨てたんですが……
その本が到着した夜から
みなさんの
ご期待通り
悪夢を見るようになりました。
ええ
察しのいい皆様なら、おわかりですよね?
長い髪の女が、寝ている藤白の足元から這い上がってくる夢です。
最初は足首
翌日はひざ元
その次の日は太ももと
徐々に長い女の位置が近づいてくるんですよ。
藤白「おい! お札! 役割果たせよ!」
毎日、悪夢で寝不足になった藤白は、本に挟んだままにしておいたお札を取り出し、文句を言いました。
で
も
ね
藤白が取り出したお札はお札じゃなかったんですよ。
いいえ
藤白が見た時にはたしかに古びた「お札」だったんです。
●●神社という名前だって書いてあったんです。
それなのに、なぜか取り出したお札は真っ黒になっていて、文字は読めなくなっていました。
焦げたわけではありません。
まるで黒い絵具で染めたように真っ黒になっていたのです。
藤白「どういうことだ?」
もしかしたら、長い髪の女の霊が強すぎて、お札が役割を果たせなくなったのではと思い、お札を撫でたところ、なぜか凸凹している。
不思議に思い、何度も撫でているうちに、その凸凹が文字のような形をしていることに気が付いた。
藤白「なんだ?」
お札だったものをよぉーく見てみる。
すると、細い糸のようなもので、文字のようなものが作られてあることがわかる。
明かりに透かしてよぉぉぉく見ると……その糸のようなものは「長い髪の毛」
そして、文字は読めないけれど、不吉な予感がしたわけです。
まさかと思い、本の中を確認してみたところ……藤白が見て、取り出すのをやめたお札は「そのまま」の状態で挟まったままでした。
つまり……お札よりも強力な「呪詛」が詰まった紙がお札とは別に入っていたわけです。
きっと、この本の前の持ち主は、この「呪詛」によって悩まされ、お札を手に入れたのかもしれない。
けれど、その「呪詛」には敵わなかったのだとしたら──?
そこまで考えた藤白はゾッとしました。
つまり、この本は、呪詛にかかった前の持ち主が、その呪詛を誰かに渡すため、本ごと売りに出したと考えられるわけです。
藤白「このままでは長い髪の女にとり憑かれる可能性があるのかも……」
とはいえ、この本を売っても被害者が増えるだけ。
燃やしたり捨てたりしたら、何があるかわからない。
当然、お寺に相談し、供養し、処分してもらい、その後は一切、何も起きていません。
ですが、いまも気になっていることがあります。
あの長い髪の毛の女性。
いったい、どういう理由で、どういう経緯で「本」の中に自分の髪の毛と、髪の毛で作った呪詛をいれたのか。
そして、その呪詛で何がしたかったのか──
もしかしたら、最初に呪詛をかけられた人はすでにその呪詛によって亡くなっているにも関わらず、呪詛だけが独り歩きしたいた可能性もある。
そう思ったら、被害者は一人や二人どころじゃないのかもしれない。
考えれば考えるほど、恐ろしい。
そんな「呪詛」の入った本のお話でした。
みなさまも、フリマサイトやオークションサイト、中古品を購入する場合、お気をつけくださいませ。
もしかしたら、「特級呪物」が潜んでいるかもしれません。